詰め物を入れた後なのに歯がしみるという経験をしたことはありませんか。この不快な症状は食事や飲み物を楽しむ妨げになり、日常生活にも影響を及ぼします。今回は、詰め物がしみる原因とその対処方法について詳しく解説します。
詰め物がしみる原因
詰め物(インレー)がしみる原因はいくつか考えられます。順に挙げていきましょう。
- 詰め物が歯に合わない
- 詰め物の高さが合わない
- 詰め物した歯に亀裂や傷がある
- 詰め物の材質
- 神経が敏感である
- セメント剤が合わない
詰め物が歯に合わない
詰め物が歯にぴったり合っていないと、歯と詰め物の間に隙間が生じます。そこから食事や飲み物の刺激が歯の神経に伝わりやすくなり、しみるという症状が出ます。
詰め物の高さが合わない
詰め物の高さがわずかに高いと咬合の際に痛みや違和感が生じます。
詰め物した歯に亀裂や傷がある
詰め物をした歯に亀裂や損傷、ひびがあると、そこから刺激が直接神経に伝わるので、しみる原因となります。むし歯が進行している場合もこの症状が起きます。
虫歯が深い
むし歯菌が歯の内部にある歯髄(神経)に近い部分まで進行していると、取り除いた後も歯の神経が痛みを覚える可能性があります。
詰め物の材質
詰め物の材質が金属で作製されている場合、熱伝導率の高さという特徴があるため、温かさや冷たさが伝わりやすいです。
神経が敏感である
深い虫歯の治療後に詰め物をした場合、虫歯を削る際の衝撃により、歯の神経が過敏になっていることがあります。この過敏な状態がしみる原因となることがあります。食べ物を噛んだ時や歯を合わせた時に痛みを感じることがあります。
セメント剤が合わない
詰め物を歯にくっつける際に、ご自身の歯とつめ物をくっつきやすくするための前処理を行います。その際に使用するお薬の作用で、詰め物を接着した後にしみる症状がでる場合があります。
詰め物がしみる対処方法とは
基本的に1~2週間程度(人によっては数ヶ月程度)経過すると落ち着くことが多いため、様子を見ましょう。ただし、詰め物の不適合や歯の亀裂が原因も考えられるため、時間が経過して痛みを覚える方は、適切な調整や治療を受けることが重要です。鋭い痛みの症状が続く期間はとても熱い食べ物や冷たい食べ物を避けることをおすすめします。
二次象牙質が出来て落ち着く場合がある
歯を削ると体は防護反応を起こすため、治療した部分には二次象牙質が出来ます。歯髄の周りを覆う二次象牙質という壁が出来ると、壁の厚みの分だけ温度や刺激が伝わりにくくなります。
市販のしみ止め剤を使用して緩和する
歯科医師の診察を受けるまで、市販のしみ止め剤を使用して症状を一時的に緩和することができます。日にちが経ってもしみる症状がひどくなる場合は、早めに歯科医院へ通院し、相談しましょう。
詰め物を入れた直後に痛みを感じなかったのに数ヶ月経って痛みを感じるという場合は、すぐに歯医者さんで治療を受けてください。歯の根である歯根まで虫歯菌が進行しているケースがあります。また、歯根などに細菌感染の問題は無くても痛みが強くひかない場合は、抜髄(ばつずい)という神経を取り除く治療を行わないといけません。
詰め物の寿命を長くするためには
詰め物を長持ちさせ、しみる症状を防ぐためには日常のメンテナンスが重要です。
- 定期的な歯科検診
- 正しい歯磨き方法
定期的に歯科医院へ通院し、お口の状態を確認してもらいましょう。詰め物の状態なども併せてチェックしてもらえば、早期に問題を発見し対処できます。正しい歯磨きで詰め物の部分を丁寧に磨き、歯垢や細菌の蓄積を防ぎましょう。また、フロスや歯間ブラシを毎日併用すれば、詰め物以外の歯周組織も清潔に保てます。
しみない詰め物を選ぶポイント
詰め物の材料や治療技術も、しみる症状が出るかどうかに影響を与えます。
- 材料の選択
- 治療技術
材料にも種類がある
熱伝導率の良い銀合金を選択するのではなく、コンポジットレジン、ゴールド、セラミックなどを選ぶというのが一つの方法です。歯に優しい素材を選べばしみるリスクを低減する効果があります。
コンポジットレジン
コンポジットレジン(歯科用プラスチック)は光の照射を行って歯を固めます。強度にやや劣るため大きな虫歯や奥歯には不向きで、吸水性という性質があるため経年劣化による着色汚れが起きます。
ゴールド
ゴールドは耐久性がありイオン化しない体に優しい金属ですが、審美性という点で白い歯に金が目立ち、違和感があります。
セラミック
セラミックは人工歯と分かりにくく、メタルフリーなので金属アレルギーの方も使用できますが、保険適用外で自由診療の対象となり、自己負担が大きいというデメリットがあります。
治療技術
最新の器機を院内に完備していて治療技術や症例経験が豊富な歯科医院を選ぶことです。詰め物の適合性が高まり、しみるリスクを軽減できます。精密な型取りや装着ができます。
まとめ
詰め物がしみる原因はさまざまですが、対処により予防ができます。詰め物の材質や治療技術を選ぶ際には、信頼できる歯科医師のアドバイスを受けることが大切です。日々のケアと定期的な検診を欠かさず行い、快適な口腔環境を維持しましょう。食べ物や飲み物がしみない詰め物で、安心して食事を楽しめるようにしましょう。