キシリトールで虫歯予防という言葉を聞くことが多いのではないでしょうか。キシリトールとはどのような成分か、虫歯予防に効果的な理由についてご紹介いたします。
キシリトールとは
キシリトール(xylitol)は歯に良い成分だと一般的に言われています。ただ、どのような成分なのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
- 白樺・カバノキ(ギリシャ語でxylon)から発見された天然の甘味料
- 専門的にはキシロースから生成される糖アルコールの一種
- 北欧のフィンランドやスウェーデンなどで多用されていた
- イチゴやカリフラワー、ラズベリーなどの野菜や果物にも僅かに含まれている
- 日本では約30年程前に食品添加物として旧・厚生省(厚生労働省)より認可が下りた成分
- キシリトールに含まれるキシラン・ヘミセルロース糖分はスクロースと同じ程度の甘味を持つ
- カロリーは砂糖よりも低く加熱しても味に変化しない
このような特徴からキシリトールは加工食品に含有されやすいですが、過剰に食べ過ぎるとお腹が緩くなったり下痢を起こしますので注意が必要です。
キシリトールが虫歯予防に効果的な理由
では、ここから、キシリトールが虫歯の予防に効果的な理由についてご説明します。
1. 唾液分泌を促進し、再石灰化の作用がある
- キシリトールを口腔内に入れた時、糖アルコールは味覚を刺激し、唾液分泌を促進
- ガムの場合しっかり噛むため、唾液腺をより活性化させます
- 唾液で口腔内を洗い流すため、歯垢(プラーク)や食べかすが歯に付着した初期むし歯の状態の場合、酸性に傾いたお口を中和する
2. 口腔内でむし歯菌(ストレプトコッカスミュータンス菌)がキシリトールを餌に酸を生成しない
- ミュータンス菌は嫌気性菌の一種で、酸素がなくても生きられる
- 糖質がお口の中で咀嚼されればそれを餌に粘着性のグルカンを作り、歯の表面に付着
- 歯垢に細菌が多く付着し、細菌の住処である歯垢(プラーク)となる
- 再び糖分を摂取すると歯垢は酸を出し、付着している歯のエナメル質を溶かし変色し穴が開く
- 溶けた部分から虫歯菌侵入し、虫歯が進行する
虫歯予防のためにキシリトールのみでOK?
キシリトールを毎日摂取すれば虫歯の予防に効果的ですが、キシリトールのガムを噛んでるから大丈夫というわけではありません。きちんと食後に歯磨きをすることが大切です。お口の中が酸性に傾く前に歯ブラシを行い、就寝前には歯ブラシ以外にタフトブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシを使ってより念入りに磨くと、虫歯を予防できます。
キシリトールは市販の製品ですと、糖分が入っていることが多いため、キシリトールの効果があまり期待できません。歯科医院専売のキシリトールガムは市販品と比べて、キシリトールの含有量が多いのでおすすめです。食後の歯磨き前(朝食後・昼食後・夕食後・就寝前)にガムを噛むというのが良いでしょう。
キシリトールで虫歯予防に関するQ&A
キシリトールは、白樺やカバノキから発見された天然の甘味料で、キシロースから生成される糖アルコールの一種です。北欧や日本で食品添加物として用いられ、食品の甘さを加えるのに役立ちます。
キシリトールが口腔内に入ると、唾液分泌が促進され、口腔内の環境が中和されます。また、虫歯菌(ストレプトコッカスミュータンス菌)はキシリトールを餌にせず、酸を生成しないため、虫歯の発生が抑制されます。
キシリトールの摂取だけで虫歯を予防できますか?
歯科医院専売のキシリトールガムは市販品と比べて、キシリトールの含有量が多いです。そのため、虫歯予防の効果が期待できます。
キシリトールは唾液分泌を促し、酸性に傾いた口の中を中和します。また、虫歯菌はキシリトールを餌に酸を生成しないため、これが虫歯予防に効果的です。
まとめ
キシリトールを摂取し歯みがきをしっかり行うと、虫歯予防や歯周病予防となりセルフケアとして効果的です。ただし、数か月や半年に一度は歯科医院へは歯の痛みや腫れがなくても、定期検診に通院しましょう。歯肉や歯の状態を歯科医師や歯科衛生士に確認してもらい、初期の段階であれば早めに改善する対処ができます。歯が抜けたり、義歯の治療が必要ということが起こらなければ、ご自身の歯で長く安定して噛むことができます。