歯と口のトラブル

ガミースマイルは女性に多い?

ガミースマイルは女性に多い?

ガミースマイルは女性に多いかもと思ったことはありませんか。ガミースマイルの基準や、女性に多い理由、ガミースマイルの治療法まで詳しくご紹介いたします。

ガミースマイルの特徴と基準

ガミースマイルは、笑ったときに歯茎(ガム)が大きく露出する状態を指します。欧米人の骨格はコーカソイドという骨格で頭が前後に長く面長ですが、日本人の骨格はモンゴロイドという骨格で頭が前後に短く顔の幅が広いため、ガミースマイルになりやすい骨格と言えます。通常、笑顔の時に見える歯茎の量は1〜2mm程度が理想とされ、3mm以上見えるとガミースマイルと診断されることが多いです。

ガミースマイルの程度

人によって程度は異なりますが、軽度、中度、重度と区分されます。

軽度のガミースマイル

  • 笑った時に一番真ん中の前歯(上顎中切歯)から歯肉が3mm以上見える
  • 歯と歯茎のバランスが悪くはなっているが、全く気にしない方もおられる

中度のガミースマイル

  • 笑った時に上顎中切歯から歯肉が5mm以上見える
  • 歯と歯茎のバランスにより笑顔が不自然に見え、笑顔を控えてしまう方もおられる

重度のガミースマイル

  • 笑った時に上顎中切歯から歯肉が8mm以上見える
  • 周囲にも気付かれることから、笑顔をコンプレックスにしてしまう方が多い

ガミースマイルの原因

ガミースマイルの原因は、歯なのか、骨格なのか、筋肉なのかという点がとても重要です。

歯の生え方や歯茎の問題(歯性ガミースマイル)

歯が平均のサイズより小さい場合や、萌出不全で歯が短い場合、相対的に歯茎が大きく見えます。また、歯茎の成長が過剰で、歯が短く見える場合もあります。

上顎の骨格の問題(骨格性ガミースマイル)

上顎骨が発達しすぎているのに前歯が下の位置にあるとどうしても歯茎が大きく露出します。不正咬合の出っ歯(上顎前突)で前歯が出ることで上唇が上がるケース、噛み合わせが深い(過蓋咬合)場合も下の前歯を覆ってしまうほど上の前歯が出て歯茎が目立つケースがあります。また、歯がガタガタ(叢生)している場合も起こりやすいです。

唇や筋肉の問題(筋肉性ガミースマイル)

上唇挙筋(じょうしんきょきん)という上唇を挙げる筋肉が発達しすぎているため、どうしても上唇が捲れてしまいます。また、上唇が薄い方は歯茎が見えやすい状態になります。上唇が薄い状態は、唇が8mm以下の場合を指します。

女性に多い理由とは

ガミースマイルは男女問わず見られる症状ですが、女性のほうが目立ちやすい傾向があります。

① 皮膚の柔らかさが男女で異なる

女性の方が男性に比べてお口周りの皮膚が薄く柔らかい傾向にあります。男女同じように笑顔を見せようとしても、男性の皮膚が固く上唇を持ち上げにくいのに比べて、女性の皮膚は上唇を持ち上げてしまいます。笑顔で印象に残る回数も多いため、ガミースマイルが目立ちやすくなります。

② 骨格の違い

男性よりも女性は顎顔面の骨格が小さいことから、骨格に対して歯や歯茎の露出が目立ちやすい傾向があります。顎の成長が弱いと、歯茎の見える範囲が大きくなることがあります。

③上唇挙筋の発達

女性は顔の筋肉が発達しやすく、笑ったときに上唇が大きく持ち上がることがあるため、どうしても歯茎が強調されます。

④ 歯の大きさ・位置の違い

女性の歯は男性に比べて小さいことが多く、歯茎の割合が大きく見えやすい傾向があります。また、ガミースマイルのみならず、歯の色や形、歯並びという見た目のお悩みが男性より女性の方が多いです。

  • 美しくきれいな口元にしたいという願望があること
  • 20代から30代の方で10人に1人くらいはなっている割合である

このような要因が重なり、男性より女性のほうがガミースマイルを気にするケースが多いと考えられます。

ガミースマイルの治療法とは

ガミースマイルにはいくつかの原因があり、軽度・中度・重度のレベルに応じてそれぞれ治療法が異なります。

① ボトックス注射(軽度のガミースマイル向け)

唇や筋肉の問題(筋肉性ガミースマイル)である場合、ボトックス注射で筋肉の動きを抑制できます。上唇を引き上げる筋肉の働きを注射で弱め、歯茎の露出を減らします。施術時間が短く、ダウンタイムが少ないというのが大きな特徴です。ただし、効果は3〜6ヶ月ほどで徐々に薄れるため、定期的な施術が必要です。

② 歯肉整形・クラウンレングスニング(中度向け)

歯の生え方や歯茎の問題(歯性ガミースマイル)である場合、歯茎の切除(歯肉整形)やセラミック治療で改善する必要があります。歯肉整形には、上唇粘膜切除術と歯冠長延長術があり、上唇粘膜切除術は上唇の一部を切除し縫う治療、歯冠長延長術は歯肉を外科的に切除し、見た目を大きく改善する治療です。セラミック治療は歯を大きく削った上に人工歯を被せる治療で、健康な歯を削るという抵抗感、歯肉整形には外科手術のためのダウンタイムがあります。

③ 矯正治療(中度〜重度向け)

出っ歯や上顎前突、過蓋咬合の改善に有効な治療です。歯列を整えることで、自然な笑顔を作れるようになります。ただし、ワイヤーブラケット矯正やマウスピース矯正は長期間の治療が必要になるため、定期的な通院や、大きな費用がかかります。

日常でできるガミースマイル対策とケア

軽度の方ならば治療や手術を受ける前に、日常でできる簡単な対策もあります。

① 笑い方や開け方を意識する

鏡を見ながら、歯茎をあまり見せない笑い方や、口角を上げつつ上唇を過度に引き上げないように練習しましょう。「イー」と言う発音を意識しながら口の動きを調整してみましょう。

② 鼻呼吸を意識する

ガミースマイルの方は口の開閉が難しく、そのため口腔内が乾燥しやすいです。口が開いたままだとつい口呼吸を行いがちになり、口腔内は乾燥するため、自浄作用のある唾液が分泌されにくくなります。乾燥したままでは細菌や食べかすが溜まりやすく、どうしても口臭が起きる可能性があります。歯周病や虫歯のみではなく風邪などのウィルスも取り込む原因になりますので、なるべく鼻呼吸を行えるように練習しましょう。

③ 悪癖を治す

ガミースマイル以外にも影響を及ぼしそうな癖は改善すべきです。

舌を前に突き出す

舌を前に出す舌突出癖という口腔習癖は、舌が前に出る習慣があると、上顎の前歯を出っ歯にしてしまいます。出っ歯で歯の角度が変わると、上唇も上に上がるため、ガミースマイルも悪化します。機能的な面でも正しい嚥下ができなくなったり、舌がうまく使えずサ行やタ行の発音に影響を及ぼします。

頬杖をつく

頭の重さは体重の10分の1くらいと言われています。50キロの体重の大人であると、頭は約5キロの重さがあります。頬杖をつくことで顎と顎関節にこの重さが集中してかかることになります。それにより噛み合わせが悪くなり、ガミースマイルや出っ歯などが悪化することがあります。特定の部分に力をかける癖はなるべく改善するようにしましょう。

まとめ


ガミースマイルは女性に多い?という疑問に対し、皮膚や骨格、筋肉や歯の大きさなど、さまざまな要因が関係していることが分かりました。軽度ならばボトックスや歯茎の調整で改善可能、中度以上なら矯正治療や歯茎の手術も視野に入れておき、表情のトレーニングや笑い方を意識することで、印象を和らげることもできます。笑顔に自信を持ちたい と思ったら、まず専門医へ相談し、自分に合った改善方法を見つけましょう。当院では、矯正によるガミースマイル治療を行っております。