親知らずは近年、まっすぐに生えてくる方が減っており、斜めに生えたり歯茎に埋まったままになっていたりする方が多いです。そのため、親知らずはトラブルを招くことが多く、親知らずを抜歯するケースも増えています。親知らずをを抜くのか抜かないのかについてご説明します。
親知らずを抜くのはどんなケース?
親知らずが斜めや横向きに生えている
親知らずが斜めや横向きに生えてきて、手前の奥歯を押してしまっている場合があります。その場合は、親知らずの一部しか歯茎の上に出ておらず、親知らずの周囲や前の歯との間に汚れがたまって虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。
また、親知らずが倒れている場合は、前の歯を押していることが多く、歯並びにも影響が出るため、抜歯をお勧めします。
親知らずが歯茎の中に埋まっている
親知らずが歯茎の中で横向きになって完全に埋まっている場合があります。この状態の親知らずは、歯茎の上に出ていないため、目で見ることは出来ず、レントゲンで確認することになります。
歯茎の中に埋まっている限りは虫歯や歯周病のリスクはありません。しかし、歯茎の中で細菌に感染して腫れや痛みや膿などの症状が起こったり、骨を圧迫して痛みが出るなどのトラブルを起こすことがあります。
埋まっている親知らずを取り出すのは患者さんの負担が大きいため、お薬で可能を抑える場合もありますが、症状が長引く場合は抜歯をお勧めします。
抜かなくても良い親知らずの特徴は?
親知らずが真っ直ぐに生えている
垂直に真っ直ぐ生えていて、他の歯を押したりしてダメージを与えていない親知らずは、抜歯せずにそのままにしていても、今後トラブルを起こすことは少ないといえます。
ただ、親知らずは歯ブラシの毛先が届きにくく、磨きにくい歯なので、虫歯になってしまうことが多く、虫歯になったら他の歯のように詰めたり被せたりせずに、抜歯になることもあります。
親知らずの生え方について
親知らずは前歯から数えて8番目に生える歯で、第3大臼歯とも呼ばれます。一般的には18歳以降から生えてくること多いのですが、20代を超えてから生えてくる方もおられ、親知らずの生えるタイミングは人によって様々です。
本数も、必ず上下左右の奥歯の更に奥に1本ずつ、合計4本生えるわけではなく、1~3本しか生えてこない方もおられます。親知らずの生えるスペースが既にない状態で生えてくるため、埋まったままになっていたり、斜めになっていたり、手前の歯を押している状態だったりして、トラブルの元になります。
そのため、親知らずが生えてくると抜歯をすすめられるケースが多いです。
親知らずの抜歯の必要性に関するQ&A
それは親知らずの生えるスペースが既に無い状態で生えてくるためです。それにより斜めになったり、埋まったままになることがあります。
必ずしも4本全てが生えるわけではありません。1~3本しか生えない人もいます。
斜めに生えたり、手前の歯を押している親知らず、また歯茎の中に埋まっている親知らずなどが抜歯をすすめられるケースになります。
埋まっている親知らずを取り出すには、一般的には手術が必要であり、それに伴う痛みや回復期間が必要となるため、患者さんの負担が大きくなります。
初めはお薬で症状を抑えることもありますが、症状が長引く場合は抜歯がお勧めされます。
まとめ
親知らずを抜くケース、抜かなくてもいいケースについてご説明しました。親知らずの状態ではご自身ではわかりにくいと思いますので、親知らずが生えてきたかな?というタイミングで一度歯科を受診して頂ければ、親知らずの現状や今後の治療が必要であれば、それについてもご相談させて頂きます。
親知らずを抜くかどうかについての研究結果を紹介します。
1. 【Ouassime et al. (2021)】
の研究では、親知らずの抜歯に関する意思決定について調査されました。この研究では、無症状で病気の兆候のない親知らずの抜歯は科学的根拠に基づいて行うべきであり、予防的な抜歯や無症状の親知らずの抜歯には根拠がないとされています。
2. 【Ghaeminia et al. (2016)】
によると、無症状で病気の兆候のない親知らずを抜くべきかどうかについては、十分な証拠がないことが指摘されています。親知らずを残す場合は、定期的な臨床評価が望ましいとされています。
これらの研究によれば、無症状で健康な親知らずの抜歯については、科学的根拠が不足しており、患者の状態や価値観を考慮し、臨床経験を用いて個別に決定する必要があります。定期的なフォローアップによる観察も重要です。