歯周病は細菌による感染で起こります。歯周病を起こす細菌のことを歯周病菌と呼びますが、その中でも代表的な3つの細菌についてご説明します。
毒性の強いレッドコンプレックスの歯周病菌とは?
歯周病菌を発症させる原因菌には多くの種類があり、約15種類以上あるといわれます。その中でもレッドコンプレックスといわれる、身体に最も被害を与える種類に含まれる歯周病菌が3つありますのでご説明します。
- porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)
- tannerella forsythensis(タンネレラ・フォーサイセンシス)
- treponema denticola(トレポネーマ・デンティコラ)
1.porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)
ジンジバリス菌は、歯周病を引き起こす代表的な細菌で、他の菌と歯ブラシでは取りにくい程の強固なバイオフィルムをつくります。また、ジンジバリス菌のもつ内毒素は、歯を支えている歯槽骨を溶かしてしまいます。空気を嫌う嫌気性グラム陰性菌で、歯周ポケットの内部に潜みます。
2.tannerella forsythensis(タンネレラ・フォーサイセンシス)
フォーサイセンシス菌は紡錘状をしており、ジンジバリス菌と同じように内毒素を持っています。空気を嫌う性質があるため、歯周ポケットの内部に潜みます。
3.treponema denticola(トレポネーマ・デンティコラ)
デンティコラ菌はらせん状の形が特徴的な嫌気性グラム陰性菌です。歯茎から血管の中に入り込んで血流にのって全身の組織に運ばれます。
歯周病菌はどうやって繁殖するの?
歯周病菌は細菌で、細胞分裂によって繁殖します。細菌は湿っていて適正な温度であるお口の中が大好きで、食べ物が歯の表面にくっつくと細菌の栄養になるため、口内は細胞が繁殖するのに最適な環境といえます。
また、歯周病菌は空気を嫌いますので、毒素を出して歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)をどんどん深くしていきます。歯周ポケットの中も細菌が繁殖しやすい環境です。
温度や湿度などの条件が良ければ、歯周病菌はどんどん細胞分裂を繰り返します。そのため、歯磨きやうがいでお口の中の歯垢を落とし、口内の細菌の数を減らすことが大切です。
歯周病になりやすい人にはどういう特徴があるの?
歯周病になりやすい人は生活習慣に特徴があり、それらの習慣を見直す必要があります。主に食生活での習慣や、薬を常用している、被せ物が合っていない、肥満、遺伝など、様々なことが歯周病に関係しています。
1.喫煙している
タバコにはニコチンやタールなどの有害物質が含まれているため、免疫力の低下が起こります。そのためタバコを吸う人は吸わない人と比べて歯周病リスクが高くなります。
タバコに含まれる有害物質には血管収縮作用があり、歯周病になっても歯茎からの出血が起こりにくいために、歯周病になっていても気づかないというリスクもあります。
そのうえ、唾液の分泌量が減るために歯に歯垢や歯石が付きやすくなり、お口の中が細菌が繁殖しやすい環境になり、歯周病が悪化することになります。
2.糖尿病にかかっている
近年の研究により、歯周病と糖尿病は相互に密接な関係があることがわかっています。
糖尿病の人が歯周病になった場合
糖尿病によって免疫力が落ちると、最近による感染に弱くなります。また、糖尿病により高血糖状態になると、身体の組織の炎症が強くなるため、歯周病が悪化しやすくなり、治療も難しくなります。
歯周病の人が糖尿病になった場合
歯周病菌によって炎症性物質が作られてインスリンの働きが抑制されると、血糖コントロールがうまく働かなくなり、糖尿病になってしまいます。
3.ストレスを感じている
ストレスにさらされると自律神経が乱れて免疫が低下します。その結果、お口の中の免疫力も低下して歯周病になることがあります。
歯周病菌の中でも毒性の強い細菌に関するQ&A
レッドコンプレックスは歯周病菌の中でも特に被害を与える3種類の細菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス、タンネレラ・フォーサイセンシス、トレポネーマ・デンティコラ)を指します。これらは強固なバイオフィルムを作り、内毒素を持ち、歯周ポケットの内部に潜む嫌気性菌です。
ポルフィロモナス・ジンジバリスは歯周病を引き起こす主要な細菌で、他の菌と歯ブラシでは取りにくい強固なバイオフィルムをつくり、内毒素を持っています。これらの内毒素は、歯を支えている歯槽骨を溶かすことがあります。
歯周病菌は細胞分裂によって繁殖します。お口の中は湿っていて適正な温度があり、食べ物が歯の表面にくっつくと細菌の栄養になるため、細菌が繁殖するのに最適な環境です。
まとめ
歯周病菌を繁殖させないためには、定期検診(歯のクリーニング)をお受けいただき、歯石や歯磨きで取れにくい部分の歯垢を除去することが大切です。歯茎の状態が良くなってくると歯周ポケットが浅くなり、口内環境が良くなります。