矯正歯科

矯正のカウンセリングで聞くこととは?

矯正のカウンセリングで聞くこととは?

クローバー歯科クリニック豊中駅前院 歯科医師 松本 康裕

矯正のカウンセリングでどのようなことを聞くべきか不安に思う患者さんがおられます。矯正カウンセリングで聞くべき内容、カウンセリングでどのようなことをするのかについてご紹介します。

矯正のカウンセリングで聞くべきこと

矯正相談においてどんなことを聞かれるのか、また患者さん側から聞いた方が良い内容は以下のようなものです。

矯正カウンセリングでドクターやスタッフから聞かれること

  • 歯並びで悩んでいる内容について
  • どのような歯並びを理想とするか
  • 理想の歯並びへの治療期限があるか
  • 希望する治療方法など
  • 治療費の予算

矯正カウンセリングで患者さんが聞くべきこと

  • 現在の歯並びの状態
  • どのような治療方法が考えられるのか
  • 抜歯が必要かどうか
  • 矯正治療の装置の種類
  • 支払方法
  • 治療期間
  • 矯正装置のメリット・デメリット
  • 矯正治療で起こるリスク

患者さんが院内を観察すべき点

  • 担当医やスタッフに気軽に質問しやすい環境であるかどうか
  • 処置や治療の進捗状況についてきちんと説明をしてくれるか
  • 長い治療期間において信頼出来る医院か

矯正のカウンセリングとは

最近では多くの矯正歯科で治療前に矯正カウンセリングを行っています。カウンセリングを行う歯科医院が多い理由は、虫歯や歯周病などの保険適用内の治療と違い、長い時間や高い料金がかかる自由診療であるため、治療の方法やリスクなどについてしっかりと説明する必要があるからです。

情報にあふれた現代においてはホームページからある程度の情報は入手できますが、実際に患者さんのお口の状態に合う治療かどうかは、歯科医師が診断しないとわかりません。

カウンセリングの重要性

矯正治療を始めるにあたって、カウンセリングは重要なステップです。多くの患者さんが「矯正を始めたいけれど、何から始めたら良いのかわからない」「治療に対する不安がある」と感じています。カウンセリングは、患者さんと歯科医師が互いに理解し合い、最適な治療計画を立てるための場所です。

1. 患者さんの希望や不安を共有する場

矯正治療は患者さんお一人おひとりの不正咬合の状態や目標に応じて計画が異なります。そのため、患者さんが抱える不安や希望をしっかりと医師に伝えることが重要です。例えば、「痛みがどの程度あるのか」「治療期間はどれくらいか」「費用についての見通し」などの質問を、気兼ねなく相談できる場がカウンセリングです。

2. 患者さんに合った治療計画の立案

矯正治療には様々な方法があり、患者さんの不正咬合の状態やライフスタイルによって適した選択肢が変わります。例えば、目立ちにくい裏側矯正や取り外し可能なマウスピース型のインビザライン、伝統的なワイヤー矯正などがあります。

カウンセリングでは、医師がお口の中の状態を詳しく検査し、患者さんの要望に沿った治療計画を提案します。その結果、患者さんがご自身に最も適した治療法を理解し、納得した上で選択できるようになります。

3. 治療のゴールを明確にする

矯正治療は長期間にわたるプロセスです。そのため、治療の最終的なゴールを明確にすることがモチベーションの維持に繋がります。カウンセリングでは、治療によって得られる効果や具体的な仕上がりのイメージについて医師と共有することができます。これにより、治療のモチベーションを高めるだけでなく、治療後のイメージを共有することで、患者さんと医師の間に信頼関係を築くことができます。

4. リスクや注意点の説明

矯正治療にはリスクや注意点もあります。例えば、歯肉の腫れや歯根吸収のリスク、治療後の後戻り防止のためのリテーナーの使用など、事前に知っておくべき情報がいくつかあります。カウンセリングでは、これらのリスクをしっかりと説明し、患者さんが治療を受ける上での不安を解消することが重要です。

5. 信頼関係を築く第一歩

カウンセリングは、患者さんと歯科医師との信頼関係を築く第一歩です。患者さんが安心して治療を任せられるよう、医師が親身に話を聞き、丁寧に説明を行うことが求められます。この信頼関係が、治療の成功と満足度を大きく左右します。

カウンセリングは単なる初期段階の手続きではなく、治療全体を通じて重要な土台を築くものです。患者さんも積極的に質問をし、医師とのコミュニケーションを深めることで、より安心して治療を進めることができます。

参照先:厚生労働省

カウンセリングの具体的な流れ

矯正治療を始める前に行うカウンセリングは、患者さんの状態や希望を把握し、最適な治療計画を立てるために重要なステップです。ここでは、一般的なカウンセリングの流れについてご説明します。

1. 受付と問診票の記入

カウンセリングの最初のステップとして、患者さんは受付で問診票を記入します。この問診票には、以下のような内容が含まれます。

  • 主訴(何が気になっているか)
  • 矯正治療を希望する理由
  • 既往歴や現在の健康状態
  • アレルギーや服用中の薬の有無
  • 日常生活での癖(噛み合わせに影響を与える舌癖や口呼吸など)

この情報は、治療方針を決める上で大変重要です。

2. 医師とのカウンセリング

問診票を基に、医師との面談が行われます。この段階では、患者さんの希望や不安について直接話し合います。医師は以下のような質問を通じて、患者さんのニーズを深く理解しようとします。

  • 矯正治療を始める目的は何か?
  • 理想とする歯並びや笑顔のイメージは?
  • 治療期間や費用についての希望や制約は?

患者さんが気になる点を気軽に質問できる場でもあるため、些細なことでも遠慮せずに相談することが大切です。

3. 口腔内の検査

患者さんのお口の中の状態を正確に把握するための検査が行われます。主な検査内容は以下の通りです。

  • 視診・・歯並びや噛み合わせ、不正咬合の程度を目視で確認します。
  • レントゲン撮影・・歯の根や顎の骨の状態を確認し、治療計画を立てるための情報を得ます。
  • 写真撮影・・顔全体や口腔内の写真を撮影し、治療前後の比較や記録に使用します。
  • 模型作成・・歯型を採取して模型を作成し、詳細な治療計画を立てる際に役立てます。

これらの検査により、患者さんの状態を多角的に評価します。

4. 治療方法と選択肢の説明

検査結果を基に、医師が治療方法や選択肢について説明します。この段階では、以下のような内容が話し合われます。

  • 矯正装置の種類(ワイヤー矯正、裏側矯正、インビザラインなど)
  • それぞれの装置のメリットとデメリット
  • 治療期間の目安
  • 抜歯が必要かどうか
  • 費用の詳細と支払い方法

患者さんのライフスタイルや希望に合わせた治療方法を選ぶため、医師と十分に話し合うことが大切です。

5. 治療のリスクと注意点の説明

矯正治療に伴うリスクや注意点についても、事前に説明が行われます。例えば、以下のような点について理解を深めることができます。

  • 治療中の歯磨きの重要性と口腔衛生管理
  • 歯肉や歯根に起こり得る変化
  • 治療後の後戻り防止のためのリテーナー(保定装置)の使用

これにより、治療を受ける上での不安が軽減されます。

6. 治療計画の提案と相談

担当医が患者さんに最適な治療計画をご提案します。計画の内容は、患者さんの要望や検査結果を反映したものです。この段階で、患者さんが納得できるまで相談し、必要に応じて治療計画の調整が行われます。

7. 質疑応答と今後のスケジュール確認

最後に、患者さんからの質問に医師が回答し、今後のスケジュールを確認します。例えば、以下のような情報が共有されます。

  • 次回の来院日
  • 治療開始までの準備
  • 必要な追加検査や資料作成の有無

これにより、患者さんは治療開始までの流れを明確に把握できます。

 

カウンセリングの具体的な流れを理解することで、患者さんは安心して治療を始めることができます。このステップは、患者さんと医師が信頼関係を築き、治療の成功につなげるための大切なプロセスです。カウンセリングを通じて、患者さん自身が治療に対する理解を深め、納得した上で治療を進められるようサポートします。

矯正治療のメリットとデメリット

どのような医療行為でも、効果と同じくリスクが伴います。それは、歯並びや咀嚼機能の改善を目指す矯正治療でも同様です。成人矯正の場合の主なメリットとデメリットは以下のようなものです。

矯正治療のメリット

  • 見た目の印象が綺麗な歯並びになる
  • 良い噛み合わせになると、食べ物を細かく吸収でき消化器官への負担を減らせる
  • 噛み合わせが良くなると、顎関節症のリスクを低下させられる
  • 歯並びが良くなると歯磨きがしやすくなり、その結果虫歯や歯周病のリスクを減らせる
  • 不正咬合の種類によっては発音を阻害していることがあり、矯正治療後は発音しやすくなる

矯正治療のデメリット

  • 歯に過度な矯正力がかかることによって歯根吸収が起こる
  • 顎の拡大装置が骨の許容範囲を超えたことによる歯肉退縮
  • 治療後に保定装置を装着しないと歯列の後戻りが起こる
  • 保険がきかない自由診療なので治療費が高価
  • 治療期間が長く2年~3年かかる方が多い
  • 上下左右の小臼歯の抜歯が必要になる場合がある
  • 骨格が原因の出っ歯や受け口は矯正装置をつけて歯を動かしても治らない

歯根吸収や歯肉退縮が起きると、虫歯や歯周病のリスクが格段に増えてしまいます。いずれの場合もすぐにケアを行わなければ歯が抜ける可能性があります。カウンセリングで矯正治療の効果とリスクをしっかりと知ったうえで、治療を行うことはとても大切です。効果とリスク、メリットとデメリットを把握し、矯正治療を開始するのがベストです。

参照先:東北大学病院

まとめ

歯のキャラクター
矯正のカウンセリングでは歯科医師にお悩みを話し、どのような状態か詳しく尋ねてみることが大事です。カウンセリング後過度におすすめされ不安に思われたら、一旦持ち帰り再度ご検討してください。出来れば複数のクリニックを受診し、治療方法や費用などに大幅な相違がないかドクターやスタッフの雰囲気も含めて確認すると、より安心して矯正治療が行えると思います。