歯と口のトラブル

歯の表面がでこぼこしているのは何?

歯の表面がでこぼこしているのは何?

歯の表面にでこぼこがあったり、滑らかでないと感じたら何の症状なのか気になる方も多いでしょう。歯の表面がでこぼこする原因や、対処法、予防についても詳しくご紹介いたします。

歯の表面がでこぼこしている原因とは

歯の表面がでこぼこしている状態は、本来滑らかであるべきエナメル質に差があり、見た目の印象が気になると思います。もちろん、見た目以外に汚れが溜まりやすくなるというデメリットが生じ、細菌感染のリスクが上がることから、お口の健康を保ちにくくなります。このようなでこぼこが発生する原因は、先天的なものから生活習慣や病気が関係していることがあります。歯の表面がでこぼこする原因として考えられる原因を挙げます。

エナメル質形成異常

エナメル質に異常がみられる場合、歯の表面がでこぼこになったり、黄色や褐色に変色していることがあります。

形成不全

歯にとって大切なエナメル質の形成は、胎児の時に顎の骨の中で作られます。妊娠4ヶ月頃からエナメル質や象牙質は形成を始めますが、その際に下記のような原因でエナメル質がしっかり形成されず歯が生えたということが考えられます。

  • カルシウム、ビタミンなどの栄養不足になった
  • 妊娠中、もしくは生まれてすぐに熱性の病気にかかった
  • 出産予定日より早く生まれた
  • 服用していたお薬が影響した
  • 遺伝の影響を受けた
  • 乳歯が虫歯になり、永久歯に影響を与えた
  • 乳歯をケガ(外傷)して顎骨に眠る永久歯に影響を与えた

歯の1本のみが形成不全の場合は、遺伝が原因ということは考えにくいです。遺伝が原因の場合、全部の歯が形成不全を起こしてしまうからです。

形態異常

  • 歯冠と歯根のくびれがなく、歯髄が短いため歯髄が入っている穴(歯髄腔)が長いタウロドント歯
  • 隣り合う2本の歯が形成期にくっついて1本の歯になっている癒合歯

これらの歯がある場合は、形態異常となります。遺伝などが原因と言われていますが、見た目の問題以外に歯質が通常の歯よりも弱いと言われます。そのため、虫歯などの細菌感染を起こしやすいです。

酸蝕歯(さんしょくし)

浸食性歯牙摩耗やエナメル質損耗とも言われる酸蝕歯は、口腔内が中性(pH7)に保たれず、酸性(pH5.5以下)に陥った時に起こります。虫歯と異なるのは、細菌感染でエナメル質が溶けたというわけではなく、強い酸がお口に入ったことが原因で歯のエナメル質が溶けた点です。嘔吐やつわりが多い人は、胃液が逆流するため、酸性の胃液により酸蝕歯になることもあります。通常であれば唾液の自浄作用や食後の歯磨きで口腔内は中性に戻りますが、酸性の強い食べ物(レモン)や飲み物(炭酸飲料)などを口に入れる時間が長いと酸蝕歯になり、下記のようなトラブルが起きる可能性があります。

  • 虫歯になりやすい状態になっている
  • 熱いものや冷たいものを入れると歯に痛みが走る
  • 歯が着色してしまう

フッ素症

子供の頃に過剰なフッ素を含有した飲料などを摂取した場合に起こる急性中毒です。歯のフッ素症、斑状歯(はんじょうし)と呼ばれ、中度になると水平方向に白濁が広がり、重度の場合は歯に白や着色した色の斑点ができ、歯の表面にでこぼこができることがあります。ただし、わが国では、フッ素の錠剤などが一般家庭で入手できないため、この中毒は極めて低いです。

歯垢や歯石で汚れている

歯垢や歯石が歯の表面にくっついていると、ざらざらした状態になり歯面にでこぼこが生じます。また、それらの汚れが付いた歯は、本来の歯の色と違う着色汚れが起きてしまい、差異が見られます。歯垢や歯石は歯の表面のみではなく、歯と歯の間(歯間)にも付着してしまうため、そこから虫歯になるケースがあります。

歯の表面のでこぼこに対するセルフケアと予防法

歯の表面のでこぼこを防ぐためには、日常生活でのセルフケアが大切です。効果的なセルフケアと予防法を紹介します。

バランスの取れた食事をとる

特にカルシウムやビタミンD、フッ素を適切に摂取するようにしましょう。歯のエナメル質に重要なカルシウムだけではなく、ビタミンでカルシウムの吸収を促進させましょう。いずれの栄養素もエナメル質の発育を促し、歯の健康を維持します。

酸性の食べ物や飲み物を控える

酸性の食べ物や飲み物はなるべく控えましょう。どうしても飲みたい場合は、だらだら長く飲むのではなく、時間を区切って飲むようにしてください。一度お口を水ですすいでおき、歯のエナメル質が削れていない方は歯磨きをしてお口を清潔に保ちましょう。歯のエナメル質が削れてしまい、象牙質が露出している方は、歯質が戻る30分後に歯磨きを行った方が良いとされる場合があります。

フッ素配合の歯磨き粉を使用する

フッ素は大量に摂取しなければ問題ありません。歯のエナメル質を強くして歯の摩耗を予防し、でこぼこを防ぐ効果があります。

定期的に歯科検診を受ける

定期的に歯科検診を受けることで、歯の表面の異常を早期に発見でき、必要に応じた対処が可能です。

これらの予防策を実践することで、歯の表面のでこぼこを防ぐことができ、健康な口腔環境を保つことができます。

歯科医院でできるでこぼこの治療法

もし歯の表面にすでにでこぼこが見られる場合、歯科医院を受診し治療を行いましょう。

フッ素塗布

歯科医院でフッ素を塗布することで、エナメル質を強化し、酸によるダメージを軽減します。歯のクリーニングの後にフッ素塗布を行いましょう。歯科医院で使用するフッ素は一般に流通しているものと異なり、高濃度であるため、効果が期待できます。

レジン充填

でこぼこの部分を少し削り、レジン(歯科用樹脂)を充填することで、歯の表面を滑らかにし、汚れの溜まりにくい状態を作ります。ただし、健康な歯を削るリスクについてもきちんと理解したうえで行いましょう。

研磨治療

軽度のでこぼこであれば、歯科医院での研磨治療によって表面を整えることができます。患者さんの状態によって、研磨が可能かどうかは分かりません。

歯の表面にでこぼこを感じたら、なるべく早く歯科医院での治療を受けましょう。でこぼこの悪化を防ぎ、対処し、健康的な歯を保つことができます。

まとめ


歯の表面がでこぼこしている原因や対処法、予防策について詳しくご説明しました。歯のでこぼこは審美性やお口の健康に影響を与えるため、早期に適切なケアを行うことが重要です。セルフケアと定期的に歯科医院での検診を組み合わせて、歯の表面を健康的に保ちましょう。