審美歯科

銀歯とセラミック治療の特徴や違いを教えて

銀歯とセラミックはどんなもの?詳しく教えて

クローバー歯科クリニック豊中駅前院 歯科医師 松本 康裕

銀歯とセラミック治療の特徴や違いなどをご紹介します。

銀歯とは?

「銀歯」とは、虫歯の治療後に歯を補うために使用される金属製の詰め物や被せ物のことを指します。正式には「金属修復物」と呼ばれることもあり、虫歯が進行して歯が大きく削られた際に、歯の機能や形状を回復させるために使われます。

銀歯の材質について

銀歯は主に以下のような金属材料から作られています:

  • パラジウム合金・・パラジウム、銀、金、銅などを含む金属合金で、日本で最も一般的に使われている材質です。
  • 金合金・・金を主成分とする合金で、強度と耐久性に優れていますが、パラジウム合金よりも高価です。
  • チタン・・生体親和性が高く、軽量で耐久性に優れた金属です。

銀歯の種類

銀歯には用途や治療の範囲に応じて、以下のような種類があります:

  1. インレー(詰め物)・・小さい虫歯を治療する際に使用され、歯の一部分を補うためのものです。
  2. クラウン(被せ物)・・歯の大部分を削る必要がある場合、歯全体を覆うように装着されるものです。
  3. ブリッジ・・歯が失われた部分を補う際に、隣接する歯に銀歯を接着して橋渡しのようにする構造です。

銀歯のメリット・デメリット

メリット

  • 強度が高い・・金属は耐久性に優れており、奥歯のような噛む力が強くかかる部分にも適しています。
  • 比較的安価・・保険適用の場合、銀歯はセラミックやジルコニアと比べてコストが抑えられます。
  • 加工がしやすい・・金属は加工性に優れており、歯の形状に合わせて精密に作ることが可能です。

デメリット

  • 審美性に欠ける・・銀色の金属が目立つため、前歯や笑ったときに見える部分では審美的に不自然に見えることがあります。
  • 金属アレルギーのリスク・・一部の患者さんは、銀歯の材質に含まれる金属に対してアレルギー反応を起こす場合があります。症状としては口腔内の炎症や全身の皮膚炎が挙げられます。
  • 経年劣化・・銀歯は長期間使用すると変色や摩耗が起こることがあります。また、歯と銀歯の隙間から虫歯が再発する可能性もあります。

銀歯の代替となる治療法

近年では、銀歯以外の選択肢も広がっています。以下のような材質が使用されることが多くなっています。

  • セラミック・・自然な歯の色に近い材質で、審美性が高く、アレルギーの心配もありません。
  • ジルコニア・・強度と審美性を兼ね備えた高性能な材質。
  • コンポジットレジン・・歯科用プラスチックで、小さな虫歯に対応可能。

銀歯は、虫歯治療で長年使用されてきた信頼性の高い補綴物です。保険適用が可能でコストを抑えられる一方、審美性や金属アレルギーといったデメリットもあります。歯科治療を受ける際には、医師と相談し、銀歯を含めたさまざまな選択肢の中から自身のニーズに合った治療法を選ぶことが重要です。

セラミックの歯とは?

「セラミックの歯」とは、虫歯や歯の欠損部分を補うために使用される、セラミックという素材で作られた詰め物や被せ物のことを指します。セラミックは陶器の一種で、自然な歯の色に近い透明感や光沢を持つことが特徴です。そのため、見た目の美しさを求める歯科治療(審美歯科)において、広く用いられています。

セラミックの歯の特徴

  • 自然な見た目・・セラミックは天然の歯の色や質感に近いため、見た目が非常に自然で、他の歯と調和しやすい素材です。
  • 耐久性・・セラミックは硬く、長期間使用しても摩耗しにくい特性があります。
  • 生体親和性・・セラミックは金属を含まないため、金属アレルギーの心配がありません。また、口腔内で異物感が少ないのも特徴です。

セラミックの歯の種類

セラミックの歯には、使用する材質や製作方法によっていくつかの種類があります。

オールセラミック

100%セラミックで作られた詰め物や被せ物。審美性が非常に高く、特に前歯の治療に適しています。金属を含まないため、歯茎の黒ずみが発生しない。

ジルコニアセラミック

セラミックの中にジルコニア(人工ダイヤモンド)を使用したもの。非常に強度が高く、奥歯やブリッジのように力がかかる部分に適しています。

ハイブリッドセラミック

セラミックと樹脂を混ぜた素材で作られたもの。オールセラミックやジルコニアに比べて柔軟性があり、価格も比較的安価ですが、耐久性や審美性はやや劣ります。

セラミックのメリット・デメリット

メリット

  • 審美性が高い・・天然の歯とほぼ同じ見た目が得られ、特に前歯の治療で美しい仕上がりを実現します。
  • 金属アレルギーのリスクがない・・金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。
  • 変色しにくい・・セラミックはプラーク(歯垢)や食べ物の着色が付きにくい特性があり、長期間美しい状態を保てます。
  • 口腔内に優しい・・セラミックは生体親和性が高く、歯や歯茎に負担をかけにくい素材です。

デメリット

  • 費用が高い・・セラミックの歯は保険適用外の場合が多く、治療費が高額になることがあります。
  • 硬さが天然の歯より強い・・非常に硬いため、対合歯(噛み合わせる歯)を傷つける可能性があります。ただし、適切な調整を行うことで防ぐことが可能です。
  • 割れるリスクがある・・強い衝撃や過度の力がかかると割れることがあります。ジルコニアは割れにくいですが、オールセラミックは特に注意が必要です。

セラミックの歯が選ばれる理由

セラミックの歯は、特に以下のような方に選ばれることが多いです。

  • 審美性を重視したい方(前歯の治療)
  • 金属アレルギーを避けたい方
  • 着色や変色が気になる方
  • 長期間、美しい状態を保ちたい方

銀歯やセラミックを被せる治療とは

一般的に銀歯や、セラミックをかぶせる治療は、虫歯治療で行われます。むし歯は、虫歯菌の排出する酸によってエナメル質が溶けて、象牙質や神経(歯髄)まで達する細菌感染です。変色や穴が開いた場合、早めに歯科医院へ行き、感染した部分をきれいに削って除去し、削った部分を詰め物や被せ物で補います。

保険適用内でのむし歯治療

  • 小さな虫歯で前歯にある場合はレジン(歯科用プラスチック)で詰める
  • 小さな虫歯が奥歯にある場合は銀(金銀パラジウム合金)で詰める
  • 大きな虫歯は銀歯の被せ物を被せる

自費診療(保険適用外)でのむし歯治療

  • 小さな虫歯で前歯が欠けている場合はコンポジットレジンで成形する
  • 小さな虫歯が奥歯にある場合はセラミック・ゴールドで詰める
  • 大きな虫歯はオールセラミック・ジルコニアセラミック・セレッククラウン・ゴールドの被せ物を被せる

審美歯科では、歯の大きさや1本の歯の角度を改善するためにセラミックで矯正を行うこともあります。矯正治療よりも治療期間が早く終わるため、早く見た目を良くされたい方にはおすすめの治療です。ただ、健康な歯を削りますので、歯の寿命が短くなるリスクがあります。

銀歯をセラミックに交換可能?

銀歯で治療した虫歯を白く美しい歯に交換することは可能です。人とお話しする際、食事をする際に銀歯が目立ち、口元を手で隠したりコンプレックスとなっている方は意外とおられます。基本的にセラミック治療は多くの方に可能ですが、下記のような方はセラミックを用いることができません。

噛み合わせの力が強い方

就寝の時間に歯ぎしりや食いしばりはストレスが理由で起きることが多いですが、虫歯はないのに歯がしみやすい方や被せ物が外れやすいという方は、上下の歯の咬合が強く、歯や顎骨に大きく負担がかかっています。そのため、セラミックの被せ物をおすすめしにくいというケースがあります。

まとめ

歯のキャラクター
銀歯とセラミックは虫歯治療に使われる素材で、いずれもメリットとデメリットがあります。銀歯は費用が低く強度が高いですが、二次虫歯や金属アレルギーのリスクが高いです。セラミックは審美性が高く、金属アレルギーの方も安心して使えますが、保険が適用されないため治療費が高額になります。歯を削る必要がある場合、神経治療が必要になることもあります。