インプラント

インプラントとはどんな治療?

インプラントとはどんな治療?

クローバー歯科クリニック豊中駅前院 歯科医師 松本 康裕

インプラントには「痛みがありそう」「インプラントを受けるのは不安」などのイメージがあると思います。今日は、インプラントとはどんな治療かについてご説明します。

インプラントとはどんな治療?


インプラントは3つの部品から成り立っています。

●上部構造(被せ物)
歯茎の上に出ている人工の歯の部分。材質としては、陶器と同じ素材のオールセラミック・ジルコニアセラミック、歯科用プラスチックとセラミックを混ぜた安価なハイブリッドセラミック等がある

●アバットメント(連結部分)
上部構造と人工歯根を繋げる役割の部品で、セラミック・メタルなどの材料を使う

●人工歯根(インプラント体・フィクスチャー)
チタンという生体親和性の高い金属で作られている

インプラントはどんな時に行う?

一般的にインプラントは、虫歯・歯周病・外傷などでご自身の歯が抜歯になった時に対処する治療法です。

歯を失ってから治療せずに放置するとどうなる?

歯を失ったらお口の中がどのような状態になるか、ご説明します.

歯が抜けたのを放置すると・・

  1. 上下で噛み合わせる対合歯が伸びてくる
  2. 抜けたスペースに隣接する歯が倒れたり、歯が動いて歯並びが乱れる
  3. 食事の際に噛んでも刺激が伝わらず、顎の骨が痩せる
  4. あごの骨が痩せると他の歯を支えている骨も不安定になる
  5. 歯で噛むことができないと脳が活性化されない

咀嚼はお口や消化器官の話だけではなく、認知症予防にも繋がる大切な機能です。歯が抜けたら、早めに歯科医院で治療をしてもらわないといけません。虫歯や歯周病が重症化する前に、クリニックで対処してもらうことも必要です。

インプラント治療の流れ

一回法は骨の量や厚みに問題がなければ行えますが、歯周組織や骨量がないと難しいケースが多くあります。今回は二回法でご説明します。

  1. 歯科用CTなどで精密検査を行い、血管の位置や、骨に厚みや高さがあるか、骨の質や量は問題ないか確認する
  2. 歯肉を切開し、ドリルであごの骨に穴を開けて、人工歯根を埋入する
  3. 歯肉を縫合し、骨と人工歯根が結合するまで、時間を置く
  4. インプラント体と骨が結合していることが確認されれば、人工歯根の頭出しを行う
  5. アバットメントを人工歯根に装着し、仮歯をセットし、最終の型どりをする
  6. 歯茎が形成されると、仮歯を外し、上部構造をセメントかスクリューにて固定する

骨との結合が不完全だとグラグラ揺れ不安定な状態になります。骨が少ない場合は、インプラントを埋め込む前に骨造成(人工メンブレンや自家骨移植)の処置が必要です。インプラント治療後は定期検診を必ず受けるようにして、しっかりとメンテナンスを行えばインプラントの寿命も長くなり、歯周病菌への感染で生じるインプラント周囲炎を予防できます。

インプラントのメリット・デメリット

歯を失った場合の治療法には、インプラント・ブリッジ・入れ歯の三種類があります。インプラント治療にもメリット・デメリットがありますのでご説明します。

メリット

  • 天然歯と同じ程度の力をかけてしっかりと噛むことができる
  • インプラントは人工歯根で自立しているため、入れ歯やブリッジと違い、他の残存歯に負担をかけない
  • 審美性が高く、見た目の色や形が艶が天然歯と殆ど変わらない
  • きちんとメンテナンスを行えば長い期間使用ができる

デメリット

  • 保険適用外の自費治療となるため、費用が高い
  • 外科手術が必要
  • 糖尿病・骨粗しょう症・ビスフォスフォネート製剤を服用中・脳卒中・心筋梗塞など病気の方は治療が出来ない場合がある
  • ブリッジや入れ歯と比べて治療期間が長くかかることがある

インプラントは禁忌の方が無理にインプラントを行うと、顎骨壊死のリスクが高まります。持病があってお薬を服用中の方は、かかりつけ医にインプラントが可能かどうか必ずご相談ください。

インプラント治療に関するQ&A

歯が抜けた場合、どのような問題が発生しますか?

歯が抜けると、噛む際の対合歯が伸び、隣接する歯が倒れて歯並びが乱れ、また、食事時の刺激が伝わらず顎の骨が痩せ、他の歯の支えも不安定になります。

禁忌のある方がインプラント治療を行うとどうなりますか?

インプラントは禁忌の方が無理に行うと、顎骨壊死のリスクが高まるため、服薬中の方などはかかりつけ医に相談することが推奨されます。

歯を失った場合、他の選択肢としては何がありますか?

歯を失った場合、他の治療選択肢としては、ブリッジや入れ歯があります。

インプラント治療後のメンテナンスは必要ですか?

インプラント治療後は定期検診を受け、メンテナンスを行うことが必要で、それによりインプラントの寿命も長くなり、歯周病菌への感染を予防することができます。

歯を失ったら早めに歯科医院で治療を受けることが重要なのはなぜですか?

歯が抜けたら、噛み合わせの乱れや顎の骨が痩せるなどの問題が起き、他の歯も抜ける可能性が高まります。また、咀嚼が認知症予防に繋がるため、早めの治療が推奨されます。

まとめ

インプラントは保険治療と比較すると料金は高額ですが、噛める機能を改善させることが出来る治療法です。症例数が多いクリニックではカウンセリング(当院は無料で予約制)を行っていることが多く、複数の医院のカウンセリングへ通い、安全に治療を行える技術のある歯医者さんか、検査の設備が整っているか、治療計画や治療費も含めてきちんと確認することが重要です。そのため、担当医やスタッフへご質問をし、丁寧に応対してくれるか等を安心できるかどうかの判断基準にしても良いかもしれません。