口臭が気になる方は多くおられます。また、気づかずに過ごしている方もおられます。口臭は歯周病が原因になっている場合が多いため、歯周病によって起こる口臭の臭いの特徴や、口臭のセルフチェックについてご説明します。
目次
歯周病になると口臭が強くなる?
お口の嫌な臭いは揮発性硫黄化合物(メチルメルカプタンや硫化水素)によるものです。
硫化水素は、温泉や火山などで発生する独特な臭いです。歯周病になると歯周ポケットが深くなってその中に歯垢が溜まり、細菌がどんどん繁殖します。
歯周病菌の多くは空気のある環境を嫌う嫌気性菌で、代謝の過程でメチルメルカプタンや硫化水素といった、臭いの元になる物質を出します。
また、歯茎に炎症が起こり、出血したり膿が溜まったりすると、そこからも強い臭いが発生します。
口臭の原因は様々
口臭の原因は、生理的口臭と病的口臭に分けられます。
- 生理的口臭・・ニンニクやネギなどの香りの強い食べ物、タバコ、アルコールなど
- 病的口臭・・歯周病、口内炎などの歯や口の病気、鼻や喉の病気、消火器や呼吸器、腎臓、糖尿病などの内臓の病気など
歯周病による口臭の臭いのタイプ
歯周病による口臭には、いくつかの臭いのタイプがあり、それらが混ざりあった結果、特有の悪臭に変化します。歯周病による口臭のタイプは主に3つあります。
- 腐ったタマネギのような臭い
- 卵が腐ったような臭い
- 生ゴミのような臭い
1.腐ったタマネギのような臭い
歯周病による口臭の中でも代表的なものは、メチルメルカプタンという揮発性硫黄化合物が原因となる臭いです。メチルメルカプタンはタマネギが腐ったような臭いで、おならにも含まれています。
メチルメルカプタンは毒性が強く、歯周病を悪化させる要因の一つと考えられています。
2.卵が腐ったような臭い
歯周病の口臭の原因として次に多いのは、硫化水素という揮発性硫黄化合物で、卵の腐ったような臭いで、歯垢や舌苔で発生しやすいものです。
3.生ゴミのような臭い
歯周病による口臭は歯周病菌が揮発性硫黄化合物(VSC)のガスを放出することで起こりますが、複数の臭いが混ざり合って特有の悪臭へと変化します。
口臭のセルフチェックをしてみよう
口臭が発生しているかどうかをチェックする方法がいくつかありますので、ご紹介します。
息のにおいをチェック
空のコップに息を吐き、蓋をします。一度深呼吸をしてから蓋をあけて、すぐにコップ内のにおいを嗅いでみます。臭いを感じる場合は口臭が発生している可能性があります。
歯間のにおいをチェック
デンタルフロスを歯と歯の間に通してからにおいを嗅いでみます。くさい臭いがする時は、口臭が発生している可能性があります。
歯と歯の間の臭いの原因の殆どは歯垢(プラーク)ですので、歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシ等を使って、丁寧に歯の汚れを取り除きましょう。
舌の色やにおいをチェック
舌は通常は淡い赤色をしていますが、舌苔(タング・プラーク)がつくと白い苔のようなものが舌の表面についている場合もあります。舌苔は瞬発性硫黄化合物を産生するため、口臭の原因になります。
舌苔は分厚くついていなければ問題ありません。色が黄色くなっている場合は注意が必要です。
舌苔が分厚い場合は臭いの原因になっている可能性がありますので、舌ブラシや綿棒やコットンで軽く拭いて取り除きましょう。その際は強く刺激しないように注意します。
歯周病による口臭を改善するためにはセルフケアと定期検診
歯周病によって起こっている口臭の改善には、お口の中から歯周病菌を減らして、歯茎などの歯周組織の状態を改善させることが重要です。
そのためには、毎日の歯磨きなどのセルフケアと、歯医者による定期検診(クリーニング)を行うことが、歯周病治療の柱となります。軽い歯肉炎の状態でしたら、それだけで数か月後には歯茎の状態が改善し、口臭も和らぎます。
口臭と歯周病の関係に関するQ&A
歯周病が進行すると、歯周ポケットが深くなり歯垢が溜まりやすくなるため、臭いを放つ嫌気性菌が増殖します。その結果、口臭が強くなる可能性があります。
生理的口臭は食物、タバコ、アルコールなどの生活習慣に由来するもので、病的口臭は歯周病や口内炎、内臓疾患などの病気が原因となる口臭を指します。
歯周病による口臭は、腐ったタマネギのような臭い、卵が腐ったような臭い、生ゴミのような臭いなど、複数の特有の臭いが混ざり合った特有の悪臭になります。
舌は通常淡い赤色ですが、舌苔(白い苔のようなもの)がついていたり、色が黄色くなっている場合は口臭の可能性があります。舌苔が分厚い場合は臭いの原因になる可能性があるので取り除きます。
歯周病による口臭の改善には、毎日の歯磨きなどのセルフケアと、歯医者による定期検診(クリーニング)が重要です。歯周病菌を減らし、歯周組織の状態を改善することが口臭を改善するキーとなります。
まとめ
口臭が気になる方は、歯科医院で歯周病のチェックを受けましょう。糖尿病や腎疾患、蓄膿症、慢性胃炎などの持病のある方も、口臭が発生する場合がありますので、内科の主治医にご相談下さい。