予防歯科へ赤ちゃんを連れて行くのか、行くならばいつが適切なのか、気になる方は多いでしょう。赤ちゃんの歯医者さんデビューや、予防歯科の重要性を詳しくご紹介いたします。
目次
赤ちゃんを歯医者さんへ連れていく時期は?
生まれて間もない赤ちゃんを外へ連れて行くのに躊躇するママの気持ちはとても理解できます。ただ、予防接種や急な発熱などで病院を受診する回数は多いです。歯科に限って言えば、赤ちゃんの場合は検診がありますが、予防歯科を受診するタイミングは、1本目の歯が生えた後をおすすめします。1本目の歯は、下のあごの真ん中に生えてきます。
歯に変色がなくお口の中は問題ないと思っても、口腔内を健康に保つには、歯医者さんを受診するのが賢明です。歯医者さんデビューは、1本目の歯が生えた後と覚えておきましょう。
予防歯科が赤ちゃんにとって大切な理由
虫歯になっていないのに、なぜわざわざ赤ちゃんを歯医者さんへ連れて行かないといけないのでしょうか。予防歯科が赤ちゃんにとって大切な理由は、主に以下のような点です。
1. 虫歯の予防
赤ちゃんの乳歯は大人の永久歯と比べるとエナメル質が薄く、虫歯になりやすい傾向があります。予防歯科では、虫歯の発生を予防するためのブラッシング方法の指導、フッ素塗布、シーラントの適用などを行います。
2. 歯みがきの習慣をつける
予防歯科を通じて、赤ちゃんは早い段階で正しい歯磨きの習慣を身につけることができます。これには、適切な歯磨きの方法だけでなく食生活の管理も含まれます。これらの習慣は、赤ちゃんが成長して大きくなっても、歯の健康を守るための基盤となります。
3. 歯の発育状況をチェックする
予防歯科では、赤ちゃんの歯の発育を定期的にチェックします。これによって、歯の生え方に問題や異常があった場合は早期に発見し、必要な時期に対処することができます。
4. 歯の健康を守る
虫歯などのお口の中の問題は、そのままにしておくと将来大人になった時に影響を及ぼす可能性があります。予防歯科は、定期的なクリーニングやチェックアップを通じて赤ちゃんのお口の中を健康に保つことを目的としています。
5. 歯医者への慣れ
早期からの歯科受診は、赤ちゃんが歯医者さんに慣れるのに役立ちます。これは、将来的に歯の治療が必要になった時に、歯医者を怖がらずに治療のストレスを軽減する助けとなります。
以上のような理由から、予防歯科は赤ちゃんのお口の中を健康な状態に保つために大変重要です。
日本とスウェーデンの歯に対する意識の違い
日本と海外のある国を比べてみたいと思います。
日本における歯科医院の捉え方
日本での歯科医院は、痛みが出た時に通院し、処置を行ってもらう場所と捉えがちです。細菌に感染した部分を除去してもらうために歯を削り、詰め物や被せ物という補綴治療(ほてつ)をして噛める歯へする場所と意識されている方が多いでしょう。
スウェーデンにおける歯科医院の捉え方
一方、虫歯が少ない国と言われるスウェーデンではどうでしょうか。スウェーデンでの歯科医院は予防歯科をするための場所と捉えています。痛みや変色が起きてからではなく、歯科医院で状態を確認してもらうために定期的に歯科へ通院し、健康な歯肉や歯を維持する虫歯予防を行っています。
予防歯科を掲げている病院へ行くべきか、小児歯科へ行くべきか悩まれる場合、お子さんの扱いに慣れている小児歯科がある病院を選択するのが良いと思います。ただし、小児歯科がお近くにない場合は、パパやママのかかりつけの歯科医院へ連れて行くのも選択肢です。
乳歯を虫歯にしないためのポイント
乳歯は比較的に歯の根(歯根)も浅く、永久歯と大きさの違いもあります。お口の中に露出している固い組織のエナメル質も、大人の歯の半分くらいしかありません。そのため、虫歯菌が赤ちゃんの口腔内に入ると、あっという間に歯をダメにしてしまう傾向にあります。
- 食事やおやつを規則正しく時間を決めて行う
- 赤ちゃんの歯を守るために正しい歯磨きの方法を教えてもらう
- 高濃度のフッ素を定期的に歯科医院で塗布してもらう
- シーラントを奥歯に行ってもらう
規則正しい食生活
赤ちゃんが泣いたからと、食事やおやつを決まった時間以外にあげてはいけません。ダラダラ食べをしているとお口の中も清潔に保てませんし、糖分を多く補給すると虫歯ができやすい口腔環境になるからです。
歯磨きの大切さ
まず赤ちゃんはお口の中に歯ブラシを入れることに慣れ、食後は歯磨きをすると習慣づけば、その後保護者の方が仕上げ磨きを行うのがお子様の歯みがき方法です。歯が複数本生えてくると磨きにくい部分も増え、歯ブラシのみではなくフロスやタフトブラシといった歯磨きの補助器具が必要となります。歯と歯の間(歯間)に入りやすい食べかすや歯垢(プラーク)をきれいに清掃しましょう。
フッ素塗布
高濃度のフッ素を歯の表面に塗布すると、歯の質(歯質)が強化されます。歯科医院で予め歯の汚れを落とし、そのうえでフッ素塗布を行います。塗布後30分は飲食できないという注意点がありますが、初期むし歯であれば改善します。
シーラント
シーラントとは、レジンとフッ素が配合されたシーラント材を、生えたての六歳臼歯や乳歯の奥歯の溝に埋め込む処置です。保険診療で治療が可能ですが、セルフケアを怠るとシーラントの溝の下にむし歯ができる可能性も少なくありません。
予防歯科へ赤ちゃんを連れて行くべき?に関するQ&A
赤ちゃんを歯医者さんへ連れて行く最適な時期は、1本目の歯が生えた後です。この時期は、通常、生後6ヶ月から1歳頃になります。この時期に歯科医院を受診することで、歯の生え始めの状態をチェックし、初期の口腔ケアを始めることができます。また、早期からの診察は、赤ちゃんが歯医者さんに慣れることにも役立ちます。
予防歯科は赤ちゃんにとって重要です。初期の予防措置により、将来的な歯の健康を保つための基礎を築くことができます。乳歯は虫歯になりやすく、虫歯が進行すると永久歯にも影響を及ぼす可能性があります。予防歯科では、適切な口腔衛生習慣の指導、フッ素塗布、シーラントの適用などを通じて、虫歯リスクを減らし、口腔内の健康を維持することが目指されます。
赤ちゃんの乳歯を虫歯にしないための重要なポイントは、規則正しい食生活、適切な歯磨き、フッ素塗布、シーラントの適用です。規則正しい食生活は、虫歯を引き起こす糖分の摂取を抑制し、口腔内環境を健康に保つことに寄与します。正しい歯磨き習慣は、乳歯の健康を維持し、プラークや食べかすを除去するのに役立ちます。フッ素塗布は、歯質を強化し、虫歯のリスクを減らします。最後に、シーラントは歯の溝に塗布され、虫歯の発生を防ぐ効果があります。
まとめ
予防歯科へ赤ちゃんを連れて行くタイミングは、下の顎の歯が生えた時期にしましょう。ドクターやスタッフが子供に慣れている小児歯科がベストではありますが、相談のしやすい歯科医院を選ぶことをおすすめします。
赤ちゃんを予防歯科に連れて行くことについての研究結果を紹介します。
1. 【Singh & Lakhanam (2021)】によれば、乳幼児期の口腔健康は、将来の口腔疾患を予防するための基盤であるとされています。この研究では、乳幼児期における専門的な歯科ケアが重要であると指摘されています。
2. 【Dhull et al. (2016)】は、アメリカ小児歯科学会とアメリカ小児科学会が、子供の最初の1年間における歯科評価と評価を推奨していることを示しています。初期の歯科介入は、親への教育の機会を提供し、予防ケアの医療的、歯科的、費用的な利点を伝えることができます。
これらの研究によれば、赤ちゃんを予防歯科に連れて行くことは、将来の口腔疾患の予防に重要であり、初期段階からの歯科ケアの重要性が強調されています。