歯周病の治療が必要になった時に、なるべく歯医者に行かずに自分で治したいと思われる方も多いでしょう。しかし、セルフケアだけでは治癒が難しく、歯科医院での定期検診でクリーニングを受けることが大切です。
目次
歯周病はセルフケアだけでも治るの?
歯周病において、予防でも治療でも徹底的にやらなければならないのは、歯垢と歯石を取り除いて、お口の中を清潔にすることです。
ドラッグストアに行くと、歯周病に効果が期待できるとうたった歯磨き剤などのデンタルグッズが市販されています。確かにそれらを使うと、一定の効果は期待できるかもしれません。
セルフケアで一番大切なのは、毎日正しい歯磨き方法で、歯垢を効果的に落とすということです。歯垢が残りやすい箇所を徹底して磨くことで、初期の歯肉炎でしたら、歯茎の状態はかなり改善します。
更に、セルフケアでは落とせない歯周ポケットに内部の歯垢や歯石を除去するためには、歯科医院での定期検診を受け、専用の器械で歯のクリーニングを受けることが欠かせません。
歯周ポケット内の歯垢や歯石はセルフケアでは除去できない
歯周病にかかると、歯と歯ぐきの間の歯周ポケットが深くなります。歯周ポケット内の歯垢や歯石は、歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどを使っても、落とすことは出来ません。そのため、歯科医院で定期検診を受けて、歯を専用の器械でクリーニングしてもらいましょう。
当院ではエアフローという器械を使っており、エリスリトールという糖アルコールが主原料の微細なパウダーを歯に吹き付けて水で洗い流すことによって、歯周ポケット内の汚れを除去します。
3ヶ月程度の間隔で定期検診を受けて頂くと、新しい歯石が出来る前に除去出来ますので、歯周病治療には効果的です。
歯周病はどんな病気?
歯周病は、歯槽膿漏とも呼ばれ、歯周病菌が出す毒素で歯茎が炎症を起こすことから始まります。歯茎が僅かに腫れて赤くなって歯肉炎が起こっている程度では、ご本人はなかなか気づけません。
次第に炎症が悪化してくると、歯磨きの時に出血を起こしたり、歯茎がぶよぶよしてきて歯周炎と呼ばれる状態になるため、異変に気づく方もおられますが、この時点で歯周病の治療を始めないと、完治は難しいです。
多くの方が歯周炎の段階で、歯医者の定期検診で初期の歯周病と診断され、歯周病の治療に入ります。しかし、定期検診を受けていないと、この段階では症状があまりないために見逃され、歯周病は進行していくことになります。
歯周病が更に進行すると、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)が深くなって、その中に歯周病菌が入り込んで歯茎や骨の組織を破壊していきます。
骨が破壊されて歯を支えきれなくなると、歯がグラグラになり、最後には歯が自然に抜けてしまいます。歯がグラつく状態になると、その症状は多数の歯に同時に現れる場合があり、複数の歯を同時に失うこともあります。
そのため、歯周病においては、早期発見、早期治療が絶対に必要です。
健康な歯茎はどんな感じ?
健康な歯茎は、ピンク色をしており、引き締まっていて歯に密着しています。歯磨きの時や、デンタルフロスを通した時にも、歯茎からの出血は起こりません。
歯肉炎や歯周炎を起こすと、歯茎が炎症で赤く腫れ、軟らかくぶよぶよしてきます。歯ブラシやフロスの刺激で出血が起こります。しかし、歯茎の色や腫れに関しては、ご自身で鏡で見ても、どの位の色が基準となるのかわからないために、見逃してしまう場合が多いです。
歯肉に炎症が起こった原因は?
歯周病の原因は、お口の中の歯周病菌の出す毒素ですが、歯周病菌の数が少ない場合は、それ程炎症が進むことはありません。
細菌が増えるのは、歯に歯垢が付着して、その中で細菌が増殖するからです。その結果、歯肉が炎症を起こして、歯周ポケットが深くなっていき、歯周ポケットの中で更に細菌が増え、歯周ポケットの深い部分の組織を壊していくという悪循環に陥ります。
そして、歯周ポケット内の歯垢や歯石は、自宅で行うセルフケアでは取り除くことが出来ません。
歯周病の自宅でのセルフケアに関するQ&A
初期の歯周病では、歯茎がわずかに腫れて赤くなり、痛みや出血を伴うことがあります。しかし、これらの症状は軽微であるため自己判断が難しいことが多いです。
健康な歯茎はピンク色をしており、引き締まっていて歯に密着しています。歯磨き時やデンタルフロスを使用したときに出血することはありません。
自宅のセルフケアでは初期の歯肉炎の改善が期待できますが、進行した歯周病に対しては限定的です。セルフケアでは取り除けない歯周ポケットの歯垢や歯石を除去するためには、歯科医院での定期検診が必要です。
まとめ
歯周病治療をセルフケアだけで完璧に行うことは不可能ですが、毎日セルフケアで出来る限り歯垢を落とし、歯石が出来ないように清潔な状態を保つことは、歯周病治療には欠かせません。
そのため、毎日のケアを丁寧に行いながら、数か月に一度の定期検診を受けて、歯周病の予防・治療を行っていきましょう。